2017/10/31
最近、私は外出する度に「奇妙に見える行動」をする人々を目にし、
はたまたこの「奇妙に見える行動」取る人々は何故にこのような
「奇妙に見える行動」を取るのだろう?と考えていました。というのは、他人からは目に見えないでも確実に存在する話し相手と話し、時に笑い合う人々の事です。
そのような「奇妙な行動」を取る人を初めて認識したのは、
数年前のある日の人々の押し返す終電に乗り込んで来た東南アシア系の男性の「奇妙に見える行動」でした。
彼は、何か呪文なのか独り言のような言葉を連れがいる訳でもなく、
ひたすら発しています。
私は彼の母国語を知る事もないので、
彼は慣れない異国の地へやって来て、あまりの疲労のあまりについ、母国語を自問自答しているのだろうか?
はたまた、彼は共に日本へ渡って来た婚約者へ最後のプロポーズをするためにその練習をしているのかもしれない。
若しくは、それは彼の信じる「宗教」のおまじないという可能性もある。
私の頭脳では彼がその「奇妙に見える行動」を取る理由を若干の妄想も含めて、想像し始めました。
しかし、想像の最中に彼は次の駅で降りてしまったので、私はその妄想を辞めざるを得ませんでした。
そして暫くして、静かな住宅街を歩いていると、
格好のいい自転車に乗った小洒落たヤングマンが、トボトボ歩いている私を抜き去り際に、
大きな声で、
「ワハハ!ウケるー。」と爆笑して通り過ぎて行きました。
私はドッキっとし自分の挙動があまりに
「ウケるー。」ような「奇妙に見える行動」をとったために彼が私のその様を見て彼が大笑いしたのだ、と、
かなり自意識過剰気味に思い始めました。
さて今度は一人、東京砂漠の真っ只中を歩いていました。
両サイドには、オシャレなハイブランドのお店が並ぶようなオシャレなストリートです。
人々は、それぞれの何処かの目的地へ歩いています。
私も口にするのも憚かるような物を購入するべく道を歩いていました。
すると、その
「GUCCI」だか
「PRADA」だかの大きなポスターの前で、
やはり
「アハハ!ウケるー。」という声が響き渡りました。
前述の事が続いた私は青ざめて、
やはり自分の行動が
「ウケるー。」のかと声の主を探しました。
今度は、小粋なファッションを身を纏ったヤングレディでした。
しかし、よく彼女の様子を見てみると明らかに私を見て笑ってはいないのです。
そう、賢明な読者の方々は、いい加減に気付かれた事でしょう。
彼らに共通していることは、皆、イヤホンやヘッドセットで、
「電話」をしていたのです。
私など、誰も気にしてはいなく、ただ私の目には「見えていない」相手と楽しく会話をしていただけなのです。
自意識過剰にも程があります。機械にそれほど詳しくはない私ですので、そういう類のものに詳しい友人にどのようなシステムでそのような事が出来るのか尋ねてみたところ、最近ではそのような物で電話をする事が可能なのだ、そういうものが先端のものなのだと諭され購入をするべきとの答えが返って来ました。しかし、頑な私は電話をヘッドフォンなどでするのは返って電話をしている相手に失礼ではないか、と思い「奇妙に見える行動」はすまい、と思っておりました。
そうやって、そのシステムを知った後、私は数々の「奇妙に見える行動」を取る方々を目にして来ました。
ある日見かけたヤングマンは、ヘッドフォンで
「電話」をしながら、
「Siri」で調べ物をしておられました。
おいおい、そんな態度で電話をしていたら、
相手にもSiriにも両方に失礼ではないか、
ともうその方の相手がどうであれ、私の目にはその方が「失礼」で「奇妙に見える行動」を取る方にしか見えなくなっていました。
ところで話は変わりますが、私は今年の夏より「ジム」に通い始めました。
きっかけは、怠惰な生活のあまり弛みきった自分の身体をなんとかしようと考えたからです。
思いの外、体を動かす事は、私にとって気持ちの良いもので、
体も少しずつ、これなら人様の前に出しても恥ずかしくなかろう、という感じになって来ました。
しかし、ここで問題が起きました。
通っている「ジム」のBGMの
節操とセンスの無さに私は直面するのです。
一応、音楽プレイヤーを個人の範疇の中で楽しむ事は許されているのですが、
私は、「有線」のヘッドフォンしか持ち合わせてはいません。
「有線のヘッドフォン」では、腹筋運動やマシンを使ったトレーニングをする上て、
邪魔になる事が多いのです。
「ジム」のスタッフがその時の気分で選んだ「
YUSEN(ややこしくて申し訳ございません)」のチャンネルを聴き続けるか…。
もちろん音楽に罪はございません。しかし例えばランニング・マシーンで80年代の
「Van Halen - Jump」のようなロックがかかっている最中
「さぁ、ここからスピードを上げて行こう!」と思った矢先、次の曲が
「シャーリーン - 愛はかげろうのように」がかかるのです。(ご存知ない方はYoutubeで聴き比べてください。)
ある時、それに耐えかねているようなあるマッチョなお客さんの一人が、
自分のiPhoneを渡し、「これ、かけてくれよ。」とスタッフに渡しましたが、ペアリングが上手く行かず、
「ジム」に5分近く無音状態が響き渡り、やっと聞こえて来たのが途切れ途切れの
「イーグルス - ホテル・カリフォルニア」だったという、
私からしたら「おいおい、だったらYUSENのままでよくね?」、
という、
最早
「ジム」を諦めるか「YUSEN」に希望を託すのを止めるか、の二者択一の体をなして来ました。
長い脱線でしたが、こうして私は、「ジム」に心地よく通うべくして、
ワイヤレスのBluetoothヘッドフォン「Beats Solo 3」を購入致しました。

このヘッドフォンなかなかの優れもので、一回の充電で約40時間使用可能。
防音設計もしっかりしていて外のノイズは殆ど聞こえません。
そして
「電話」も出来ちゃうのです…。
あれ?
試しに友人に電話してもらいました。
左側のイヤーパッドに触れると、通話も簡単に出来ます。
その後、最近大好きな「The Chainsmokers - Something Just Like This」を聴き始めました。
「Oh, I Want Something Just Like This!」
オーマイガッ! ただ聞いていた筈なのに、歌っていた!
一連の私の言動を見ていた友人は一言、こう言い放ちました。
「さくぞう、十分に奇妙な行動取ってる奴にしか見えないよ。」
はっっっっっっっ!
今まで他人が「奇妙な行動」取っていると思っていた自分にこんな落とし穴が待っているとは!
しかし、ここで発想の転換をする事の上手なさくぞうです(というかただ単に自己弁護しているだけですが)、
そもそも「電話」をかける行為を「電話機」に向かって話す事を指す、と誰が決めたのでしょうか。
それでは「コールセンター」にお勤めの方々は「電話をしていない」という事にはなるのでがないでしょうか。
勿論彼ら彼女たちは、ヘッドギアを付けつつ、様々のお客様とお話になっているではないでしょうか?
いつでも人は
「奇妙」になれるのです。
「奇妙上等!」「奇妙に見える行動」、結構じゃないですか。電話をかけるスタイルにもっと自由を!